裕子の小説置場☆
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
いつも読んでくださり、ありがとうございます。
誠に勝手ながら諸事情により、しばらく休載します。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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「私、明日は朝早くから、出掛けないといけないの。 だから、いっしょに看板の捜査をしたかったんだけど、裕子ちゃんとナガァィモちゃんふたりでがんばってね」
大家さんは、なぜか「ガ」にアクセントをおいて、訛った調子で長芋の名を呼んだ。
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「え? ナガィモっていうの? また異国情緒あふれる名前ねぇ」
「ええ、ほんとに。 何語かしら」
私は説明するのもめんどうなので、大家さんが勘違いしているままに任せた。
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アパートの玄関を入り、長芋を鉄柱にくくりつけると、二階の大家さん宅を訪ねた。
大家さんに事情を話すと、それは名案だと、あっさり長芋を部屋に入れることを許可してくれた。
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けど、うちのアパートに犬を入れてもいいのかしら?
ちゃんと大家さんに断ったほうがいいわよね。
大家さんも、看板の行方を知りたがっているし、きっと許してくれるわ。
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ところで、ほんとにこの子は、長芋を食べるのかしら?
よし、明日、八百屋で長芋を買ってみよう。
しばらくして自宅に着いた。
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「ワン!」「ワン!」
ためしに私もワンと吠えてみたが、犬がうっかり、長芋! と叫ぶことはなかった。
いや、叫んだらこわいんだけど。
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「長芋! よろしくね!」
「ワン!」
前を歩く犬に向かって声を掛けると、長芋をもらえるとでも思ったのか、振り向いて嬉しそうに吠えた。
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これからこの子には、たくさん働いてもらうわ。
あの看板を持ち去った犯人をみごと見つけることができたら、そのときは好きなだけ長芋を食べさせてあげるから!
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犬はまるで、早く行こう、と催促でもするかのように、私の膝を鼻先でつついた。
「じゃあ、この子は借りていくから」
私は彼女にそう告げると、犬のリードを引いて自宅を目指した。
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「そんなこと、どうだっていいわ。 あなたはこのまま家に帰るか、それとも私と一緒に来てくれるか」
私はイライラしてきた。
どうしてこう、もったいつけた言い方をするんだろう。
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私はしゃがんで犬に首輪を巻いた。
頭上で彼女のつぶやく声が聞こえた。
「ほんとうは、私が長芋を食べたかったのかもしれない……」