裕子の小説置場☆
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
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千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
流しの下の戸を開け、醤油瓶を取り出した。
瓶の口を開け、皿の中に少量垂らす。
瓶を元の場所に戻し、箸でにんにくと醤油をよく混ぜ、なじませた。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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プーンとにんにくの匂いが漂ってきた。
つぶれたにんにくをつまみ、お皿に入れる。
手をざっと水で流し、ジーンズのお尻で拭う。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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水を飲み終え、一息ついた。
よし、じゃあ、作戦を実行に移すとするか――
先ほど買ったにんにくを一片むしりとると、皮をむき、まな板の上に載せ、包丁の背で潰しはじめた。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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洗いものを終えると、喉が乾いてきた。
あ、しまった! 牛乳買うの忘れた!
いまさら買いに行くのも面倒だわ、しかたない、水で我慢しよう。
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ハフッハフッ――シャキッシャキッ――ズルッズルッ――
ちょっと上あごをやけどしたけど、あっという間に食べ終えた。
どんぶりを流しに運び、鍋やフライパンと一緒に洗う。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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どんぶりをテーブルに運び、席に着くと、スープを一口すする。
ああ、おいしい!
口の中をやけどしないよう気をつけながら、もやしと麺をほおばる。
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少し固めかな? と思うくらいで火を止め、粉末スープを入れて溶く。
どんぶりに移し、さきほど炒めたもやしを半分載せて、できあがり。
残り半分のもやしは、晩ご飯にとっておくのだ。
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お湯が沸くまでのあいだ、中火にかけたフライパンに少量のゴマ油をなじませ、豚バラ肉を炒める。
豚の脂が出たところで、もやしを入れ、強火で手早く炒め、皿に移す。
ちょうどお湯も沸き、サッポロ一番味噌ラーメンの封を開け、麺を煮る。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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自宅に着くと、リュックサックから食材を取り出し、すぐに調理を始めた。
もう、おなかペコペコ。
鍋にカップ3杯弱の水を入れ、火にかける。
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「とにかく、おまえが無事でいてくれてホッとしたぜ。 こんなところで離れ離れはイヤだからな。 あとはいっしょにヤツを探そう」
「う、うん――まぁ、アンタがそう言うなら――」
なんとなく、はにかんだようなピーナッ子の声を背に、私はその場から遠ざかっていった。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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二人を尻目に、私はさっさと先を急いだ。
「おおかた、誰か棚にぶつかって揺れて落ちたとか、そんなんじゃないの?」
む、ピーナッ子、するどい――
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「ほんとだってばよ、棚から商品が落っこちてくるくらい、でっかい地震だったんだって!」
「はぁ? そんなおっきな地震なら、あたしだって自転車で走ってられなかったわよ」
角を曲がると、ピーナッ子とイカゲソの姿が目に入った。
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私は自宅を目指して歩きだした。
ほどなく、さきほどピーナッ子と鉢合わせた角に差し掛かった。
男女の諍う声が聞こえる。
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周囲の様子をうかがったが、イカゲソと親子の姿は見えない。
いったいどこまで避難したのだろう。
まあもう、私の変装は完璧だし、いきなり出くわしても、どうってことないんだけど。
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私はレジ袋の口を広げると、すっぽり頭にかぶった。
つづいて順に、目、鼻、口のあたりを摘まんで、穴を空ける。
これでもう、だれも私だとは気付かないわ――
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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うう、杉並区はレジ袋が有料なのよね……
けど、背に腹は代えられないわ。
私はお姉さんに5円を払い、大きめのレジ袋を1枚もらった。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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私はレジのお姉さんに声を掛けた。
「すみません、レジ袋1枚もらえます?」
「あ、はい、5円いただくことになりますけど――」
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さあ、急いで帰ろう。
店の外にイカゲソたちがいないか、気を付けないと。
あ、そっか、しまった――レジ袋、もらえばよかった。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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イカゲソたち、勘違いだと気付いて、戻ってこなきゃいいけど――
レジは空いており、すぐに支払いは済んだ。
リュックサックに、にんにく、もやし、豚バラ肉、サッポロ一番味噌ラーメンを詰め込む。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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「おい! 次またいつ揺れが来るかわからない。 とりあえず店の外に出たほうがいい」
イカゲソはそう言うと、母親の腕を掴んだ。
「そ、そうね、乾物と言えども、打ち所が悪ければ……」
母親は買い物カゴをその場に置くと、こどもの手を取り、イカゲソとともに出口に向かって駆け出した。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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陳列棚の陰から様子を伺うと、膝にしがみつくこどもを抱きしめる、母親の背中が見えた。
よ、よし、どうやら親子の絆は取り戻せたようね――私の狙った通りだわ。
名づけて、えーっと――『乾物降って絆深まる大作戦』。