裕子の小説置場☆
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
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千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
「おいおい、新宿程度で震えが来てたらどうすんだよ。 オレたちなんか、これから浦安まで行っちゃうんだぜ?」
イカゲソが得意気に言った。
まったく、どこまで癇にさわるヤツなんだろう。
たんに私は、あんたたちに対して、まともに答える気がないだけのよ!
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「あら、どうしたの? 寒いの?」
ピーナッ子が私の震えに気づき、声をかけてきた。
「あ、いや……な、なにかしら……し、新宿が近いから……かなぁ?」
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もしかして、状況が悪くなってる?――
話を聞くかぎり、そのさくら姉さんって、ちょっとヤバそうな人らしい――
カタカタカタ――
自然と私の脚が震えだした。
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ピーナッ子は話をつづけた。
「だったら、さくら姉さんに頼めば、すぐ情報を掴んでもらえるはずよね。 あの人にはお世話になりっぱなしだけど、今回も甘えちゃおっか……」
「ああ、お礼だったら、ちょうど浦安に行くんだし、適当におみやげを買ってくればいいさ」
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「そうね……昨日、家の近くで会ったってことは、たぶんあいつも高円寺辺りに住んでるに違いないわ」
うまく二人をだませたようだ。
とりあえず、この場は切り抜けられそうだけど、その、さくら姉さんって何者だろう?
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チッ――
イカゲソが舌打ちをした。
「やっぱ、あいつのことは、さくら姉さんに任せて、オレらはさっさと浦安に行こうぜ」
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「え? ほんと!? どこで!?」
ピーナッ子が食いついてきた。
「えーっと、ひとつ前の駅で、反対側のホームの電車に乗り込むところを見たわ」
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「え? なに? わたし、なにか気に障ることでも言った?」
ピーナッ子がひるんだ。
「あ、ご、ごめんなさい! リュックサック越しだと、声が聞き取りにくいかと思って……」
あわてて私は弁解した。
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「だったら、ムーンウォークが得意で、いびきがうるさい上に寝言も言って、ポールダンスもそこそこできる、生意気そうな小娘、知らない?」
「知らないわよ!!」
つい、裏声のまま、私は声を張り上げた。
生意気ってなによ!
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「さくら姉さんのことを知ってるんなら、あんた、地元は高円寺でしょ?」
さらにピーナッ子が聞いてきた。
「え? ま、まぁ、そうだけど……」
たしかに私は高円寺には住んでいるけど、外れのほうだし、今の住まいに越してきたのは去年のことだ。
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「お、お菓子が好き……かな?」
私は苦しまぎれに答えた。
「あー、そう言われてみれば、お菓子は好きかもね。 よくハッピーターン食べてるし」
ハッピーターン――あぁ、刈名谷さん――いっしょにいてくれたら、どんなに心強いことか――
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「あのって、どのよ? あんた、さくら姉さんのこと知ってるの?」
ピーナッ子が答えた。
「えーっと、えーっと、その……」
まずい、なんて言おう――
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そうだわ、ちょっとカマをかけて、聞きだしてみよう。
「あのぅ、お話し中すみません、そのさくら姉さんって、あのさくら姉さんですか?」
私は二人に問いかけた。
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「あんな小娘ひとりのために、わざわざ、さくら姉さんの手を煩わせるのは悪いわよ」
小娘で悪かったわね、あんただって、目が小さいくせに!
けど、だれなんだろう、さくら姉さんって――
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「こうなったら、あの女のことは、さくら姉さんにお願いして、始末してもらったほうが早いと思うぜ?」
とイカゲソ。
さくら姉さん? だれそれ――
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「あーあ、あの女、ホントどこ逃げたのかしらねぇ。 せっかくの浦安行きが台無しだわ」
え? 浦安? あなたたち、今、浦安って言った?
まずいわ、とにかくどこかで電車を降りないと、この先ずっと一緒ってことだわ。
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「おい、まぁいいじゃねぇか。 浦安に着いたらオレが、好きなだけ醤油漬けのニンニク、買ってやるからさぁ」
イカゲソがピーナッ子をなだめた。
「ふん、いいわ、ゼッタイ買ってよね!」
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「なにさ! あんたばっかり、ニンニク醤油の匂い楽しんじゃってさ!」
ピーナッ子は、私に八つ当たりしだした。
いや、彼女がふりかけを嫌いになったのは、まさに私のせいなんだけど。
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「あたし、ふりかけキライなんだけど!」
突然、ピーナッ子が怒声を上げた。
しまった!――そうだった――
昨日の今日だもの、ふりかけの話を持ち出すのは、まずかったわ――
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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「ほかほかごはんに、醤油漬けのニンニク……はぁ……唾が湧いてきちゃうわ」
と、ピーナッ子は続けた。
「そう! ふりかけなんかかけたら、もう最高よね!」
すかさず、私も裏声で答える。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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「そうそう、今考えてみれば、むりやりだったかもしれないけど、家族のことを思ってだったのね……」
穏やかな口調で、ピーナッ子が答えた。
いいぞ、この調子だわ。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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だが、ここでヘタにピーナッ子の機嫌を損ねるより、うまくあしらって、隙を見て電車を降りたほうがいい。
私はふたたび裏声で答えた。
「そうよ! おかあさんは、いつだって私たち家族の健康を、第一に考えてくれたわ!」
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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「ねえ! あんたのおかあさんも、そうだったんでしょ?」
ピーナッ子が私に声を掛けてきた。
知らないわよ、そんなの! 口から出まかせだし!