裕子の小説置場☆
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
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千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
片手で犬を地面に押さえつけると、首輪を外した。
自由――それがどういうものか、その身で思い知るがいいわ!
なにものにも束縛されない、つまりそれは、全責任を自分自身で背負うということ――
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
ずるずると引きずられる犬。
私は手を伸ばし、首輪を掴んだ。
犬は首をひねり、必死で私の腕を噛もうとするが、届かない。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
ケ、ケフッ ケフッ
犬はその場に座り込み、咳き込んだ。
私はすかさず手を伸ばし、リードを掴むと、思いっきり手繰り寄せる。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
思わず横に飛び退き、私との衝突を避けようとする犬。
この、チキン野郎め。
すれ違いざま、犬に引きずられ地を這うリードを、私は思いっきり踏んだ。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
むしろ、あんたを追いかけるハンターよ!
私は思い切り踏み切って飛び上がると、空中で身をひるがえし着地した。
と同時に、今度は犬に向かって猛ダッシュで向かっていく。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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背後に迫り来る、荒い息づかい――
きっと、あの犬が追ってきたのね。
いいこと? 私はあなたから逃げ惑う、哀れな獲物なんかじゃないわ。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
一度スタートを切ったら、ゴールまでまっしぐら。
呼吸すら止めた全力疾走のさなかに、後ろを振り返る余裕なんて、あるものですか!
けど、感じる、感じるわ。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
私は犬と飼い主に背を向けると、ジョイナー走りで一目散にその場を離れた。
ジョイナー走りは、最高速度で移動するときにしか使わない。
ハムストリングを意識した、一流スプリンター特有の走りなのだ。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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犬は駆けながら飛び上がると、みごとに宙でコンビニ袋をくわえ、着地した。
ま゛ーーーーーー!!!
犬は言葉に表せないないような叫び声を上げた。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
背後で犬の激しく吼える声が聞こえる。
わしづかみにしたコンビニ袋は、生暖かくやわらかい。
私は立ち止まり、後ろを振り返った。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
なんだか無性に腹が立ってきた。
彼女が手に提げているコンビニ袋をひったくると、私はやみくもに走りだした。
こんな人に、私のコンビニ袋を渡してたまるもんですか!
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
はぁ? なにそれ、勇気ですって?
たかがコンビニ袋かぶるくらいのことでしょ?
なんでそんな大袈裟に考えてるの? この人……
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
「あの、コンビニ袋をかぶるという行為にじゃなくて、うーん、その、人前で堂々とそういうことができる、えーと……神経というか勇気というか……」
彼女は考え考えしながら答えた。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
「つまり……あなたもコンビニ袋をかぶってみたかったってこと?」
「いえ、そうではないんですけど……」
もう! いったい、どっちなのよ! イライラするわね!
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
うらやまし……かった……?
言っている意味がよくわからない。
やっぱりこの人、コンビニ袋をかぶっていたのが私だと知っていて、からかってるの?
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
「だ、だから、うらやましかったんです!」
彼女は目をきつく瞑り、声を張り上げた。
犬はどうしたらいいのかわからず、私たちの周りを行ったり来たり走り回っている。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
「へ? うらやましい? それは……コンビニ袋をかぶった姿が、オシャレだったから?」
「いや、そうじゃなくて」
ちがうのか!
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
「なんですか? もう、なに言われたって、驚きませんけど?」
つい、いじわるな口調で私は言った。
すると彼女はゆっくり息を吸い、私の顔色をうかがいながら、口を開いた。