裕子の小説置場☆
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
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千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
犬は用を足している最中に邪魔をされ、迷惑そうに私の手から頭を逸らそうとする。
だが、私は両手で犬の顔をがっちり掴み、動かないよう固定する。
うーん、やっぱりこれ、どう見たって顔は柴犬じゃないの――
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
私は犬の前で立ち止まり、しゃがみこんだ。
「よしよし、かわいいね」
頭を撫でながらも、犬の顔と首から下をなんども見比べる。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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歩調をゆるめ、まじまじと顔をのぞきこむ私に、犬も気づいて睨み返してきた。
「やだ、忘れちゃったのかしら……」
その横で飼い主のつぶやく声がした。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
犬はというと、飼い主におかまいなく、神妙な顔つきで用を足している。
ん? あれ? この犬、シェトランドシープドッグかと思ったら、顔はまるっきり柴犬じゃない!
けど、首から下の毛並みと柄は、まさにシェルティ……
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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飼い主は、ジャージの両側のポケットへと交互に手を突っ込んでは、まさぐっている。
なにか大切なものを失くしでもしたのか、しきりに首を傾げている。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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犬は植え込みに鼻を突っ込み、なにやら匂いを嗅いでいる。
と、おもむろに植え込みにお尻を向けて、しゃがみ込んだ。
飼い主と犬まで、あと数メートルにまで迫った。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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まだ近所で乗ってる人を見かけたことないけど。
あれって、高いのかしら?
値段とか、あとでネットで調べてみよう――
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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高円寺駅前まで、歩いてだいたい20分。
自転車があれば楽なのに――
そういえば、あのセグウェイって、どうなのかしら。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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ウエストポーチにしまっていた財布を取り出し、ジーンズの後ろポケットに突っ込む。
スニーカーを履き、家を出た。
夜風が涼しい。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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けど、なんだろう、どうも気になる――
カオリの雰囲気――顔立ち――
よし、やっぱり行こう! こういうときは、直感に従うのが一番だわ。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
それと、カオリには二人の兄弟がいるとも言っていた。
こちらは彼らの顔を知らないけど、向こうはカオリから私のことを聞いているかもしれない。
やはり、今、駅前に足を運ぶのは危険かしら――
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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つまり、カオリは彼らよりも上の立場にいるということ。
たとえば、社長令嬢とか?
最低でもあれだけの従業員がいるのなら、そこそこ大きな魚屋さんよね。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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もしかしたら、そこにカオリも住んでいるかもしれないのに――
公園でカオリといっしょにいた男たちの恰好は、どう見ても魚屋みたいだった。
しかも、カオリの指図には忠実に従っていた。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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大家さんの言っていた佐倉水産――カオリの母親である節子さんの実家。
高円寺駅近くにあるって――
なぜだろう、危険なのはわかっているのに、妙に気になる。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
ベッドから降りると、台所のゴミ箱に向かう。
さきほど丸めて捨てたコンビニ袋を拾い出し、裏返して畳む。
念のため、これも持って行こう。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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テレビの上に置いてある時計を見ると、夕方の6時を回っていた。
お腹は――まださほど空いていない。
この暗さなら、外に出ても、カオリたちに見つかりにくいわよね。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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目を覚ますと、部屋の中が薄暗い。
ちょっとのつもりが、数時間は寝入っていたらしい。
すっかり日も傾いてしまった。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
さあ、これで明日の準備は整ったわ。
今日はもう、家の中でじっとしていよう。
ウエストポーチを床に置き、ベッドに上がり、寝そべる。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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おもいきったクシャミは出なかったが、さきほどよりは鼻水の出がよくなったので、父も満足げに目を細めた。
――そんな一家団欒のひとときを思い出しながら、無意識にウエストポーチをなんども強く抱きしめていた。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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ボックスティッシュから素早くティッシュを一枚引き出すと、鼻をかむ。
ズビ、ズビビーッ
ほらね、鼻水たっぷり出てるでしょ? と、父に目で訴える。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
思わず身体をのけぞらせ、鼻の穴から父の指を抜く。
クシャミの出る気配はまったくないが、鼻を刺激されて鼻水が出てきた。
しめた! これでティッシュを使う正当な理由ができた。