裕子の小説置場☆
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
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千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
こんどは別の男が、丸まったチラシを開いて伸ばし、カオリに差し出した。
カオリは受け取ると、それもピーナッ子に渡した。
しばらくチラシを眺めるピーナッ子。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
イカゲソは地面を蹴りながら、自転車を前に進めた。
リュックサックに顔を近づける。
大きくいちど、首を縦に振った。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
カオリは男の一人からリュックサックを受け取ると、ピーナッ子に渡した。
リュックサックを見つめるピーナッ子。
彼女は振り向くと、自転車にまたがったイカゲソにも見えるよう、それをかざした。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
カオリは立ち上がり、輪を離れ、自転車の来るほうに歩き出した。
自転車がカオリの前で止まった。
ピーナッ子は、自転車の荷台から降りると、カオリに駆け寄った。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
ん? 今、自転車のベルが聞こえたような――
音のしたほうに目をやると、一台の自転車が公園の入り口を抜け、ハンカチ落としの輪に向かってくるのが見えた。
あれ、イカゲソだわ。 うしろにはピーナッ子も乗ってるし――
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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なんどかオニが入れ替わり、木の幹にしゃがんでいた男も、また輪に戻った。
しかし呑気よねぇ、もう私を捜すのはあきらめた、と思っていいのかしら――
と、走っていたオニが急に足を止めた。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
どうでもいいけど、あそこでずっとハンカチ落としをやってるつもりかしら。
手紙もちゃんと読んでもらえたみたいだし、木から降りて、さっさと家に帰りたいんだけど――
しばらく私は、カオリたちがハンカチ落としに興じているのを、ぼんやり眺めていた。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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つかまった男は、がっくりと肩を落とし、手にしていたチラシをオニに渡すと、椎の木の幹に歩み寄り、腰を下ろした。
オニはまた輪に沿って、ゆっくりと走り出した。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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男がチラシに気づいた。
チラシを掴み、身体をひねりつつ、前屈姿勢で立ち上がろうとする。
だが、オニは飛び込むように手を伸ばし、男の身体に触れた。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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オニは、あいかわらずチラシを落とすフリを交えながら、走りつづけている。
半周すぎても、落とされた側の男は気づかない。
あらあら、このままじゃ、あの人、つかまっちゃうわ。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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あ、落とした!
こんどはフェイントじゃなく、ほんとにチラシを落としたわね。
あそこに座ってる人、まだ気づかないみたい。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
だが、カオリは、追ってくる男がさきほどまで座っていた輪の隙間へ、滑り込むように収まった。
くやしそうに頭を横に振りながら、輪に沿って走りつづける男。
ときおり、チラシを落とすフリも交えつつ、数周が過ぎた。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
なんという扱い! せっかく心を込めて書いたのに!
カオリが通ったあと、男たちは後ろに手を回してみては、丸められたチラシが落ちていないか探っている。
チラシを落とされた男が気づき、それを掴んで立ち上がると、輪に沿ってカオリを追いはじめた。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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ん? もしかして、ハンカチ落としやってるの?
それにしては、ハンカチがきれいに丸まったまま形を崩さない――
ちょっと! あれって私が手紙を書いたチラシじゃないの!?
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
四周――五周――
あ!――
一瞬、カオリが身をかがめると、彼女手先から丸まった白い物体がこぼれ、男の一人の背後に落ちた。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
カオリは輪になった男たちに近寄り、なにかを告げた。
ウォーッという、野太い歓声が上がる。
なんだ? なにを言ったんだ?
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
男たちは木を囲んだまま、その場にあぐらをかいて座りだした。
みな、カオリからの次の指示を待つかのように、じっと彼女を見つめている。
カオリは通話を終え、携帯電話をポケットにしまった。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
携帯電話を耳にあてながら、整列している男たちに、身振りで指図をしている。
男たちは列を崩すと、椎の木をぐるりと一周して、とり囲んだ。
そのうち電話が相手につながったのか、カオリはときどきうなづきながら、話を始めた。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
私の心配をよそに、カオリはすぐチラシに気づき手にした。
リュックサックを男の一人に持たせると、チラシを開いて目を通しはじめた。
彼女は手紙を読み終えると、ポケットから携帯電話を取り出した。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
カオリのうしろで横一列に整列し、彼女を見守っている。
カオリは無言で手を伸ばし、リュックサックを手に取った。
ちゃんと手紙に気づくかしら?――
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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リュックサックを見上げ、鼻を突き出している。
どうやら匂いを嗅いでいるらしい。
ほどなくして、男たちの集団も到着した。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
さきほどのうたた寝で見た夢を思い出し、身震いした。
あれって、魚屋さんの集団?――
カオリが椎の木の前で止まった。