裕子の小説置場☆
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
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千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
「あたしの母親だって、精がつくからって言って、毎日家族に、自家製の醤油漬けニンニクを、むりやり食べさせてたわよ!」
ピーナッ子の声が大きくなった。
あら、そうなの――
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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「ちょっと、あんた、ニンニク醤油の匂いのどこが悪いって言うのよ。 失礼でしょ?」
ピーナッ子が小声でイカゲソをたしなめた。
あら、ピーナッ子って、意外と大人じゃん。
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と、イカゲソが、私にも聞こえる声で言った。
「おい、聞いたか? ニンニク醤油の匂いのする母親だってよ、たまんねーな!」
なによ! うちのおかあさん、ほんとにそんな匂いするわけないじゃない! 失礼ね!
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私はさらに続けた。
「わぁ! おかあさんだぁ! えーっと、ニ、ニンニク醤油のにおいだね!」
どうやら、以前リュックサックを使った際、中でお弁当の汁がこぼれたのに気付かないまま、放っておいたらしい。
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とっさに私は裏声を使い、甲高く叫んだ。
「お、おかあさん! おかあさんの匂いがするよ! このリュックサック!」
ピーナッ子とイカゲソの気配をうかがう。
無言だ――
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「じゃあ、聞いて……どうしてリュックを……押し付けてるかって」
イカゲソがピーナッ子に小声で返した。
ど、どうしよう――なにか先手を打たなくちゃ!
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「……向かいの……あやしくない?」
よく聞き取れないが、まずい、私のことを話しているらしい。
なんとかして、この不自然な姿勢を、正当化しなくちゃ!
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「どうするよ? 次の電車も待ってみるか?」
とイカゲソ。
「そうねぇ……あんまり時間をかけてると……」
と、ピーナッ子が、なにかに気づいたのか、声を潜めた。
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どすん――
リュックサックで顔を隠した私の真向かいで、勢いよくシートに座る音がした。
え? また?――はぁ――なんでこうなるかなぁ――
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「いないわ、この電車じゃないのかしら?」
「こんだけ空いてりゃ、見落とすはずねぇもんなぁ」
イライラした口調でそう言いながら、ピーナッ子とイカゲソが、私の乗る車両に入ってきた。
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と、すぐにまた右方向から、ドタドタという行儀の悪い足音が聞こえてきた。
ああ、うんざり――あいつらだ――
下ろしかけたリュックサックを、また顔に押し付けた。
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けど、このままの姿勢でいるのも、不自然だわ。
あいつらがまた、この車両に戻って来るかもしれないし。
次の駅に着き次第、電車を降りよう――
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ほんと、どこに目を付けてるのかしら、ピーナッ子。
イカゲソは、ピーナッ子の後を追うしか、能がないみたいだし。
まあ、おかげで命拾いできたけど――
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「あいつ、ぜったい、また電車に乗って来てるはずよ!」
とっさに、私はリュックサックで顔を隠した。
私の前を足音が、左から右に走り去って行った。
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他の車両に乗って、こちらに移動してくるかもしれないし――
と、やはり不安は的中した。
左のほうから、車両内を駆ける足音と、女性のわめき声が聞こえてきた。
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ああ、そうだ、お昼ごはんは、なに食べようかな――
ところで、浦安まで何時間くらい掛かるのだろう――
地下鉄って、窓の外の景色がぜんぜん変わらないから、退屈だなぁ――
そんなことを考えているうちに、次の駅に到着した。
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電車が到着し、ドアが開いた。
車両に乗り込み、シートに腰を下ろす。
もしかしたら次の駅で、あのカップルが乗り込んで来ないとも限らない。
シートに寝そべりたい気持ちを抑えながら、次の駅への到着を待つ。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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ピーナッ子とイカゲソ――喉が渇きそう。
次の電車の到着を告げるアナウンスが流れた。
もし、待ち伏せされていたら、ひとまずリュックサックで顔を隠すしかないわ。
どうしようもなくなったら、そのときは、この吹き矢で――
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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チャラチャラしてて、裾を引きずった、だらしないジーンズ。
おまけに、ピーナッ子の尻に敷かれちゃって――
うん、あいつは‘イカゲソ’で、いいわ。
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次の電車に乗ったとして――あのカップル、まさか待ち伏せしたりしてないでしょうね?
変装用の衣装もないし、気をつけないと――
そうだわ! 万一また会ったときのために、あの男のほうのあだ名も考えておかなくちゃ。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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「あー! あいつ! 昨日――」
そこでドアは閉まり、電車はふたたび動き出した。
私を指差しながら、車両の中を進行方向とは逆に走る二人。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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「ありがとう! またお会いできる日まで!」
ドアが閉まり始めた。
と、なにかに気付いた二人の表情が、とっさに驚きへと変わった。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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しめた! もう、完全に信じ切ってるわ!
ちょうど電車が、次の停車駅に着いた。
ドアが開くと、私はドア横の手すりに掴まりながら電車を降り、二人に笑顔で手を振った。