裕子の小説置場☆
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
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千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
気がつくと、私の周囲あちこちから「180℃、180℃」と騒ぎ立てる声が聞こえた。
ジュワッ ピチピチピチ
なにかを揚げている音も聞こえる。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
私は崩れるように横になり、ぼんやりと運転手を眺めていた。
(あれは!)
運転手の腰に巻かれた真っ黒いレザーのウエストポーチに目がとまった。
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「おかあさん、まだ……着かないの……?」
私は呻いた。
「つらいか? いいわ、いまだけあなたのおかあさんでいてあげる」
運転手の気遣いに私は涙した。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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この世は相似形だと思った。
たとえ今この瞬間、とつぜん地球が公転軌道を後ろ向きに切り替えたとしても、私はなんのためらいもなく受け入れるだろう。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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運転手は深くうなずくと、思いっきりアクセルを踏み込んだ。
タクシーはバックで急発進した。
運転手は振り向き、にやりと笑った。
「車でムーンウォークだ。 イカすだろ?」
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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助手席側の窓が降り、中年男性の運転手と目が合った。
「俺はお前の母親にはなれない。 だが、世界の果てまでも、お望みの場所に運んでやる」
後部座席のドアが開いた。
私は黙って乗り込んだ。
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キキッ!
目の前でタクシーが急停車した。
思い出に浸っていた私は、現実に引き戻された。
もしかして母が色黒なのは、ひとより多く、マクドナルドのアイスコーヒーを飲んでいるせいかもしれない。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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ウエストポーチは無言だった。
それでも私には、母の声が聞こえたような気がした。
「マクドナルドのアイスコーヒーって、氷抜きで頼んだほうが、まるまる注いでくれるからトクなのよ」
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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私は寂しさを紛らわすため、よくホットカーペットに座っては、傍らのウエストポーチに頭を押し付けて、つぶやいたものだった。
「おかあさんって呼んでもいいですか?」
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私の母は色黒で、まるで、ホットカーペットの上に無造作に置かれたウエストポーチのような人だった。
一人暮らしをするようになってから、母のことを思い出さない日はない。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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数分後、遠くにタクシーの姿が見えた。
こんどこそは・・・・・・
私は大きく手を振りながら、さっき以上の大声で叫んだ。
「それでも! それでも、あなたをおかあさんと想い慕ってもいいですか!?」
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
予想はしていたが、運転手の答えに私は打ちひしがれた。
だめ・・・・・・なの・・・・・・?
気を取り直して、次のタクシーを待つことにした。
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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タクシーは速度を落とすことなく、私に近づいてくる。
目の前を通り過ぎる瞬間、開いた窓から運転手が答えた。
「だめだ!」
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逆立ちを止め、擦りむいた手を舐めながら、こちらに向かってくるタクシーに向かって声を張り上げた。
「あなたのことを、おかあさんと呼んでもいいですか!?」
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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ヘイ! タクシー!
私はその場で逆立ちし、目の前を通り過ぎるタクシーに向かって、脚をばたつかせた。
しかし、一台も止まろうとしない。