裕子の小説置場☆
千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
『ネズミに会いに』を最初から読む
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千葉の浦安に住むという巨大ネズミを探しに、旅に出た私……
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ブログのURLが変わりました。
新しいURLは、
http://yuko.matano.net/
となります。
こんごとも、よろしくおねがいします。
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玄関に戻り、長芋の脇にしゃがむと、雑巾で長芋の足の裏を順に拭いていく。
長芋は嫌がる様子もなく、されるがままだ。
すべての足の裏を拭き終えると、長芋を家の中に上げた。
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鉄柱に繋いであったリードを解き、長芋を連れて自宅ドアへと向かう。
ドアの鍵を開け、玄関で待つよう手で長芋を制し、台所に上がった。
流しの隅に丸まっている雑巾を手に取り、ざっと洗って絞る。
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「うわん!」
玄関の長芋の耳にも届いたのだろうか、任せてくれと言わんばかりに、一声吠えた。
私は大家さん宅を後にし、一階へと降りた。
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こんにちは、裕子です。
いつも読んでくださり、ありがとうございます。
誠に勝手ながら諸事情により、しばらく休載します。
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「私、明日は朝早くから、出掛けないといけないの。 だから、いっしょに看板の捜査をしたかったんだけど、裕子ちゃんとナガァィモちゃんふたりでがんばってね」
大家さんは、なぜか「ガ」にアクセントをおいて、訛った調子で長芋の名を呼んだ。
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「え? ナガィモっていうの? また異国情緒あふれる名前ねぇ」
「ええ、ほんとに。 何語かしら」
私は説明するのもめんどうなので、大家さんが勘違いしているままに任せた。
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アパートの玄関を入り、長芋を鉄柱にくくりつけると、二階の大家さん宅を訪ねた。
大家さんに事情を話すと、それは名案だと、あっさり長芋を部屋に入れることを許可してくれた。
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けど、うちのアパートに犬を入れてもいいのかしら?
ちゃんと大家さんに断ったほうがいいわよね。
大家さんも、看板の行方を知りたがっているし、きっと許してくれるわ。
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ところで、ほんとにこの子は、長芋を食べるのかしら?
よし、明日、八百屋で長芋を買ってみよう。
しばらくして自宅に着いた。
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「ワン!」「ワン!」
ためしに私もワンと吠えてみたが、犬がうっかり、長芋! と叫ぶことはなかった。
いや、叫んだらこわいんだけど。
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「長芋! よろしくね!」
「ワン!」
前を歩く犬に向かって声を掛けると、長芋をもらえるとでも思ったのか、振り向いて嬉しそうに吠えた。
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これからこの子には、たくさん働いてもらうわ。
あの看板を持ち去った犯人をみごと見つけることができたら、そのときは好きなだけ長芋を食べさせてあげるから!
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犬はまるで、早く行こう、と催促でもするかのように、私の膝を鼻先でつついた。
「じゃあ、この子は借りていくから」
私は彼女にそう告げると、犬のリードを引いて自宅を目指した。
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「そんなこと、どうだっていいわ。 あなたはこのまま家に帰るか、それとも私と一緒に来てくれるか」
私はイライラしてきた。
どうしてこう、もったいつけた言い方をするんだろう。
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私はしゃがんで犬に首輪を巻いた。
頭上で彼女のつぶやく声が聞こえた。
「ほんとうは、私が長芋を食べたかったのかもしれない……」
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首輪が外れると、彼女は思い出したように四つん這いから二本脚で立ち上がった。
「私は――」
彼女はそう言ったまま、言葉を詰まらせた。
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そう、あの長芋好きな息子のことが気にかかっているにちがいない。
私は、彼女の首に巻かれたままになっていた首輪を外しながら言った。
「どっちを選ぶもあなたの自由。 正解なんてない」
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ワン!――
犬は、自分が必要とされているのがわかったのか、答えるように、ひと声吠えた。
いっぽう、飼い主の表情には、ためらいが浮かんでいた。
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はぁ、はぁ、はぁ……
しばらく深い息をして呼吸を整えると、彼女たちに言った。
「犬なら鼻が利くでしょ? ちょっと手伝ってほしいの」
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彼女たちの前に着くと、その場で駆け足をつづけながら呼吸を整える。
「ちょ、ちょっと待って……今……い、息を整える……から……」
彼女たちは上目遣いで私をにらんだままだ。